グロッキー状態となった我妻に、耕介は左右の拳を打ち込む!

が。

「だから…」

我妻はまたもこの拳を取る。

「拳の引きが遅ぇんだよっ!」

取った腕を背後で捻り上げた我妻は、耕介の脇腹を鷲摑みにする!

警視庁で松岡を捕まえた際に折られた肋骨の箇所だ。

当然まだ完治していない。

悶絶する耕介。

苦悶しつつも、彼は背後の我妻に肘を叩き込んで逃れる!

…呼吸を乱しながら、距離をとる両者。

大した言葉のやり取りなどない。

今更言葉など何の意味があるのか。

言って止められるなら、とっくに止まっている。

理解しているのだ。

獣を止めるには、叩きのめすしかないのだと。