1時間が経過しても、倉本達は総本部内に入る事すらできない。

更には近隣の下部組織の組員達も駆けつけ、強制捜査の邪魔をしようとする。

逮捕者が続出し、本題である総本部内の捜査は一向に進む事はなかった。

このまま乱闘騒ぎによって、強制捜査を有耶無耶にするつもりか。

日を改めれば、組長の鬼首以下、幹部達はどこかに姿を晦ますかもしれない。

鬼首會の不意を突く事が出来た今日この時に、捜査を実行しなければ意味がない。

その時だった。

「!!!!!!」

突如、混乱の現場に鳴り響く銃声。

1人の組員が血を流して倒れる。

「ツベコベ言ってっと全員ぶち殺すぞコラァッ!」

そこに立っていたのは、硝煙上がるデザートイーグルを握り締めた我妻だった。

彼は抵抗する組員に対し、警告なく発砲、1人を射殺した。

無論、一般の警察官ならば違法行為だ。