そんな巽の言葉など気にせず。

「見ろ」

耕介は遺体を指差した。

「金目当てなら、速やかに殺って金だけ奪ってさっさとトンズラだ。が、この犯人は確実な被害者の死を狙っている。或いは苦痛を与える事を目的としているか…」

「怨恨による犯行とでも言いたいのか」

巽が言う。

「いや、違うな」

倉本は切断された首の断面を見た。

「この切断面…ナイフや包丁、ましてやチェーンソーなどによるものじゃない…こんな鋭利に首を切断できる刃物など、市販されているようなものじゃない」

「一般じゃ手に入らないような刃物…いいね、いい着眼点だ。アンタなかなかやるな、倉本さん」

耕介が感心したように言った。

強盗殺人に見せかける為の偽装。

市販では入手できないような刃物状の凶器。

これらから導き出される答え。

「犯人はプロの殺し屋だな」

耕介が顎の無精鬚を撫でた。