「言っておくが精神鑑定は必要ない」

椅子に座り直し、亮二はいたって冷静に言った。

「別に俺はイカレちゃいない。生まれついての人殺しなだけだ。異常者呼ばわりされる謂れもない」

氷のような視線が、巽を真っ直ぐに見る。

「俺と同じ境遇に生まれていたなら、お前らだってこうなる」

理解不能、共感できない思考。

巽達と亮二達は、所詮相容れない関係なのかもしれない。

殺しを愉しんでいる訳ではない。

衝動に駆られて殺している訳ではない。

『人殺しだから』人を殺す。

理解できる筈もなかった。

覗き込もうとも奥底が見える筈もない、深淵。

心の闇…。