「巽さん!」

巽が帰ってきたと聞き、環が医務室に入ってきた。

「またそんな大怪我してる!大丈夫なんですかっ?」

「掠り傷だよ」

何事もなかったかのように煙草を咥える巽。

いつ見ても、巽は怪我をしているという印象がある。

環や美奈、一般人を犯罪者から守る為に負傷を重ねる。

警察官である以上、仕方のない事なのかもしれないが。

「大人しくしてろって言うなら、牢屋にでもどこにでも入ってますから…巽さんもう無理しないで下さい」

心配のあまり、人目も気にせず巽に抱きつく環。

「おーおー、甘い展開だねぇ。憎いよっ、色男っ」

巽を茶化す耕介に。

「羨ましいなら…私もハグしてあげますよ…?」

抑揚なく言いながら、雛罌粟が耕介に抱きついた。

こんな悪ふざけが出来るのも、無事に警視庁に辿り着けたからこそだが。