警視庁内の医務室。

「時速100キロ以上のバイクで転倒したですって?」

美奈は巽と耕介の傷を手当てしながら絶句する。

「それでこの程度の怪我な訳?貴方達おかしいんじゃないの?」

「この程度って何だ。打撲出血打ち身に青痣、重傷だろうが」

「普通死ぬのよ、そんな大事故になったら」

巽といい耕介といい、警察に属している者、或いは属していた者というのは化け物揃いなのだろうか。

最早タフという言葉では片付けられないほどの超人的な肉体だ。

まぁお陰で、美奈達もここまで何事もなく警護してもらっているのだが。

「まぁここなら、俺達以外にも警察官が大勢いる。蓮杖の事務所より更に安全だ」

治療を終え、巽が革ジャンを羽織りながら言う。