瞬く間にKATANAの速度計は、時速100キロを指し示す。

元々レース用としてチューンアップされたエンジンを公道用にデチューンした巽のKATANAならば、3人乗せてもこのくらいは余裕だ。

チラリとミラーで後方を確認。

…猛スピードで追跡してくるヘッドライトが見て取れた。

松岡の駆るハヤブサだ。

「飛ばすぞ。振り落とされるなよ!」

更にスピードを上げる巽。

KATANAはエンジンの唸りを上げ、加速する。

吹き付ける風が、まるで刃のように3人に襲いかかる。

身を切るようだ。

僅かな道路の継ぎ目さえ、ジャンピングスポットのような衝撃を与えた。