踵を返し、倉本は事務所を出て行く。

「巽、蓮杖を見張ってろ。自分は少し頭を冷やしてくる」

パタンと静かに閉じる事務所のドア。

耕介は、倉本に殴られた頬に手を当てた。

「痛ぇ…カミサンの顔が脳裏をよぎったぜ」

「…お前結婚してないだろ」

巽がすかさずツッコんだ。