「さてと」

巽がソファに座り、窓際のキャスター付きの革張りの椅子に座る耕介を見た。

「お前何でそんなもん着てんだ?」

巽が指摘する。

…いつものヨレヨレのダークのスーツと違い、耕介は紺色の突入服を着ていた。

耕介が警察時代に所属していた、SATのアサルトスーツだ。

このアサルトスーツとヘルメット、防弾ベスト、タクティカルベストでSAT隊員の一揃えの装備となる。

嘗ては耕介もそれらを着用し、SATの任務にあたっていた。

警察を辞職するまでは。

「蓮杖、お前それは…」

巽が言いよどむ。

彼は知っている。

耕介が警察を辞めた理由も、身に付けているアサルトスーツが『曰く付き』である事も。