「環ぃっ!女医ぃっ!永瀬ぇっ!」

巽の叫び声が、亮二達の耳に届いた。

少し時間を食い過ぎたようだ。

覚悟を決め、強く目を閉じて環を抱き締めていた永瀬だが。

「……っ……」

いつまでも刺されない事に違和感を感じ、顔を上げる。

いつの間にか亮二達は、音もなくその場から姿を消し去っていた…。