蟀谷や脇の下を爪先蹴りで蹴られ、額を強打されて脳震盪を起こし。

松岡の拷問にも似た攻撃は続く。

それでも永瀬は環を放さない。

最早意識も朦朧としているだろうが、それでも放さない。

公安といえば表情すらあまり顔に出さず、捜査に支障が出る為に人前で声を出す事すら避けると言われるほど、よく言えばクール、悪く言えば冷徹。

だがそんなイメージを覆すほどに、永瀬は感情を曝け出して環を守る。

他者がどのようなイメージを持とうが、永瀬もまた警察官。

己の身を呈してでも、一般市民の命を守る。

例え暗殺者の凄絶な拷問により、殺される事になろうとも。