「やれやれ」

象男に足蹴にされていた松岡が、立ち上がる。

「俺ほどの暗殺者が、みっともねぇやな。格好悪ィとこ見せちまったぜ」

そうは言うものの、松岡は然したるダメージは受けていないように見受けられる。

象男に押されはしたものの、彼もまた化け物。

超一流の暗殺者には違いなかった。

「さてと」

軽く体をほぐした松岡の視線は、後ろ手に縛られたままの環へと向けられる。

「んじゃ本題に入ろうか。俺の顔を見た奴は生かしちゃおけねぇんだよ。陳腐な言い方だがな」

「っ!」

松岡の言葉に、環はビクリと体を震わせた。