そんな環のそばから、象男は美奈を奪う。

彼女の片足を摑み、ズルズルと魔法陣の中央に引き摺った。

「やめて!美奈さんに何するつもりなんですかっ?」

「…最早説明も耳に入らぬか」

魔法陣の真ん中に美奈を仰向けに寝かせ、部屋の奥へと歩いて行く象男。

次に戻ってきた時。

「ひっ!」

環が息を飲む。

象男の手には、斧が握られていた。

両手持ち、巨体の象男が持っていてもそれなりの大きさがある、鉞(エツ)というまさかり状の斧だった。

嫌な予感が、環の中で加速する。

象男は、これで美奈を斬首しようとしているのではないか。