「それじゃあ、行ってきます」

環はまだ窓際の椅子で居眠りしている耕介に告げ、事務所を出る。

カジモトの運転する車の後部座席に乗り込み、テレビ局へ出発。

「今日は、あの刑事さんいないんですね」

ハンドルを握りながらカジモトが言う。

「刑事?巽さんの事ですか?」

「ええ、革ジャン着て、サングラスかけた…ちょっと柄の悪い人」

「ああ、見た目はそうかもしれませんね」

環はクスッと笑う。

「あの格好じゃあ、刑事には見えませんよね。どっちかっていうとチンピラですよ。目付きも悪いし、どうして環さんみたいなアイドルに、あんな奴が付き纏ってるのかと思ってましたよ」

カジモトは運転しながら話した。