己惚れる訳ではないが、正直、美奈の倉本に寄せる気持ちは、どことなく分かっていたつもりだ。

警察官であるとか、職務であるとか、そういった…言うなれば言い訳を並べ立てて、距離を置こうとしていたに過ぎない。

だが美奈は思っていた以上に強かな女性だったようだ。

倉本のせいで犯罪に巻き込まれて、恐怖にビクビク震えているような性格ではないらしい。

刑事の女房に相応しいと言える。

ならば。

「その辺の話は、散らかった診療所の片付けでもしながらにしよう。まずは…」

倉本は美奈の瞳を覗き込む。

「ベッドを片付けるか?」

「っ…えっ…?」