Tokyo Dark Side

思い当たる節があったのか、チンピラ達は巽に絡むのを止める。

この界隈で『野獣』と呼ばれる刑事である巽とは、努めて揉め事を避ける。

それが悪党どもの暗黙の了解。

気に入らなげに睨みながら、チンピラ達は雛罌粟を置いて路地裏を出ていく。

「お前もお前だ」

巽は革ジャンのポケットから煙草とライターを取り出す。

セーラー服姿でこんな深夜に1人出歩く。

餓えた男どもの恰好の餌食だ。

雛罌粟にも落ち度はある。

その辺の事を説教してやろうとして。