Tokyo Dark Side

鬼首が組に戻ってきた事で、鬼首會の組員達の士気は上がっている。

ちょっとした事で暴発してしまうだろう。

三次団体とはいえ、そんな時期の鬼首會の系列組織に手を出す事が、どれ程危険な事なのか。

元マル暴の我妻が分からない筈がない。

「下手に刺激して、鬼首會が反発し始めたらどうすんだ!」

「んな事知った事じゃねぇんだよ馬鹿野郎が!」

巽の言葉に、我妻は罵声を浴びせる。

我妻には今、どうしても鬼首に確認しなければならない事があった。

…あの情報屋から聞いたのだ。

我妻の娘を監禁していたあの男、実は鬼首會の下位組織の構成員だったらしいのだ。

下位組織といっても、四次団体五次団体といった、相当な下っ端の組員。

鬼首會の組長である鬼首にとっては、取るに足りないチンピラに等しい存在だろう。

だがそれでも、鬼首會の一員は一員。

それが真実ならば、我妻にとっては鬼首會全体が、娘の復讐の対象となる。

「鬼首會のドチンピラどもが暴れたってどうだっていいんだよ。俺は俺の用件を済ませる方が先決だ馬鹿野郎」