「そうは言うが」

松岡が口を開く。

「その指令をしくじりゃ、えげつねぇ結末が待ってんだろ?」

ある暴力団のヒットマンは、敵対する組に捕まった挙句に凄まじいリンチを受けて、山中で遺体で発見された。

遺体の状態は酷く、10日経って背中の刺青からやっと身元が特定できるほどだったという。

極道の世界に関わった者は皆、壮絶な死が待っている。

「ヤクザとは関係ねぇ風に言っちゃあいるが、制裁だけはヤクザと同じ扱い…そうだろ?」

松岡の言葉に、鬼首は肯定も否定もしない。

ただ焼肉の煙の向こうで、薄く笑うだけだった。