Tokyo Dark Side

某所、我妻家。

我妻は自宅の2階に上がり、ある部屋の前で立ち止まる。

「具合はどうだ」

「……」

「ちゃんと飯食ってんのか」

「……」

「あんまり欲しくねぇのかもしれねぇけど、無理してでもちょっとだけでも食った方がいいぞ。体によくねぇからな」

「……」

部屋の中からは、返答はない。

帰って来てからというもの、『彼女』はずっとこうだった。

引き籠もりがちで、外出もしないし、部屋からも殆ど出て来ない。

家族に顔を見せる事も稀だ。

無理もない。

あんな事があった後では…。

「じゃあ…また仕事行くから。何かあったら電話するんだぞ。こないだ渡した電話番号に、いつでもかけてくればいいから」

我妻はそう言い残して、階段を下りて行った。