我妻は警視庁組織犯罪対策第四課に所属していた、いわゆるマル暴の刑事。

倉本より以前から警察に勤める古株だ。

「本来ならば我妻は、その高い検挙率により最初の『野獣』の権限を与えられる筈だったが、過剰な暴力捜査により見送られた」

「うるせぇよ馬鹿野郎」

徳本の言葉に、我妻は言い返す。

まさしく『悪辣』の二文字がよく似合う、凶暴な悪徳刑事。

「…だが、マハルーチカ捜査でLAPDのクリスチャン・ロックフィールドが重傷を負った。『組織』の暗殺者達も暗躍し、必ず人手不足で捜査に支障が出るだろう。そこで…」

徳本は我妻の顔を見た。

「私の権限で我妻 武刑事を3人目の『野獣』に任命し、捜査に参加してもらう」