「止めろ!」

巽と永瀬の言い争いを、倉本が一喝した。

「仲間に負傷者が出た。自分達がまずする事は何だ?仲間同士で争う事か?考えろ」

「…すいません」

巽は素直に詫びる。

「…ま」

耕介が頭をガシガシと掻いた。

「引き続き雛罌粟と環の警護は続けるこったな。この2人が狙われてる以上、象男は必ずまた現れる。そん時ゃ単独で突っ走らねぇで、数人がかりで行く事だ。じゃねぇとクリスの二の舞になりかねねぇ」

土地勘のなさに加えて、単独行動で象男を確保しようとした事が、クリス負傷の一因でもある。

如何に野獣と呼ばれる刑事達でも、侮らない事。

相手もまた野獣なのだから。