SWAT隊員のクリスが、全力で追跡する。

にもかかわらず、あの巨体、あの重装備の象面を被っていながら、象男の逃げ足は速かった。

路地を走り回り、あっという間に撒かれてしまう。

クリスがこの平川町の土地勘がないというのを差し引いても、大した足の速さだった。

「くそ…」

呼吸を乱しながら、毒づくクリス。

折角追い詰めたというのに、逃がしてしまうとは。

彼はスマホを取り出し、共に象男の捜査をしている倉本に連絡する。

「…倉本か。クリスだ。すまん、取り逃がした」

荒い呼吸を整えつつ、クリスは言う。

「今か?今はあの探偵の事務所の近くだ。平川町とかいう…」