1人の人間をしつこく狙い続けるという事は、狙われる人間にとっては恐怖であるものの、それを捜査する者、警護する者にとっては行動を絞り込みやすい。

クリスは雛罌粟をマークさえしておけば、必然的に象男と遭遇する事になる。

「デトロイトで捜査していた時から、お前は1人の獲物に執着する傾向があった。日本に来ても、それは同じようだな」

「……」

一歩踏み出そうとする象男だが。

「Don't move!(動くな!)」

激しい警告と共に、クリスはグロックのトリガーに指をかける。

「言った筈だ。僅かでも動いたら撃つ」

「……撃てばいい」

象男は野太い声で言った。

「そんな玩具でマハルーチカの御加護に敵うと思っているのならば、撃ってみるといい」