「みーわ。今夜空いてる?」
「うわ、桜井君。」
お昼休憩、社食でから揚げ定食を食べていた私に同期の桜井君が話しかけてきた。
「うわ、って何。傷つくんだけど。」
突然目の前に現れたんだから仕方ないでしょ。
「ごめんごめん。」
彼はさっきまで由奈が座っていた席に腰かけ、私と同じから揚げ定食を食べ始めた。
「一人なんて珍しいな。」
「あー、さっきまで桜井君の席に由奈座ってたんだけど『彼氏の話してたら声聞きたくなっちゃったー』とか言って行っちゃったよ。」
「あ、南彼氏いるんだ。」
「あれー、桜井君知らないっけ?もう毎日のろけられてたまらないよ。」
私の言葉に桜井君は笑う。
「いーな、とか思っちゃうんだけどね。」
私も小さく笑う。
