「……ぅ……、」


時計の針の音が鳴り響く静かな静かな玄関。


彼が消えた玄関でこらえていた涙が流れだす。


”体だけ”


そんなのわかりきってることなのに。


普段は愛想のかけらもない彼には慣れっこなはずなのに。


私を抱いてるときはどうしようもなく私を愛してくれる、
それと同じように体だけじゃなくて全部を愛してほしい。


私だけを、見ててほしい。


あなたにとって、
私ってただの欲を満たすだけの道具ですか?