「そっか…」
「こーら、何おしゃべりしてんだ」
会話をしている私たちの元に鈴原先生が来る。
「はーい」
ずっとこの時間が続けばいいのに。
ずっとずっと鈴原先生と…。
クシャクシャっとされた感触がずっと残っていた。

「どーよ、瑠奈」
「どうって?」
「部活」
「あー…」
初めて2ヶ月のソフト部…だが、少し疑問を感じているところがあった。
「んーいまいちかな」
「そっか、無理しちゃ駄目だよ」
いつもへらへら笑ってばかりいる美里が神妙そうな顔をしてこちらを見た。
「ん、ありがと。…美里は?」
「私は…経済的に難しいかな」
美里の家は高校から結構距離があるから、高校の所有している寮に寝泊りしている。
「そっか。美里こそ無理しないでね」
「ありがと」


ミーンミーン・・・・。
夏の暑い日、せみの鳴き声がグラウンドに響き渡る。
「練習始めます」
「はーい」
「じゃあ、これからお互いペア組んで」
11人いたので私が1人残る形になった。
「私とやる?」
「空!」

「空、あれとって」
「……………はい」
「空ちゃん、それとって!」
「はい!」
最近空と仲のいい、同じ1年生の魅羽ちゃんが空に話しかける。
(あれ、なんだか態度が…)
最初は気のせいかな?と思っていた。
…でも気のせいではなかった。