「あれ、白石さんだよね」
私がソフトに入った後も優しくあの…童顔の先生は話し掛けてくれた。
「あ、はい」
そういえば、この人の名前しらなかったな。とふと思った。
「あのぉ、お名前って」
「あれー?入学式のときいったはずなんやけどなあ」
少し困ったような顔をして頭をぽりぽりとかいた。
「俺は鈴原寛」
「鈴原先生…」
「そういえば、白石さんの名前、きいてなかったな」
「る、瑠奈です」
「そっか、そっちは?」
気配を消して私の後ろに隠れていた美里に話しかける。
「げ」
「「げ」てなんだ」
「中森美里」
「それでよし」

「わりといい先生じゃん」
鈴原先生がどこかに言った後、美里は私に言う。
「…だね」
正直、最初は「怖い人」とという意識だけだったが今は「いい人」という意識に変わった。
少し童顔なのがアレだけど。

「どうした?ここわかんない?」
数学の先生だったらしく、私は少人数クラスを担当する鈴原先生に教えてもらっていた。
「これはここをこーして」
「ふむ」
「こーしたらできるよ」
「…あ!!」
「お、よくできました」
私の正解の回答を見てクシャクシャっと頭をなでくれた。
「ひゅーう」
「ちょ、みさとぉ…」
「いい感じじゃん、鈴原を好きになっちゃえば?」
「せ、先生だよ!」
小学校からいままで先生を恋愛対象として見た事なかった私にとっては「先生を好きになる」という感覚が全くわからなかった。
「それがなによ。先生だって人間だよ」
なぜか、美里のその言葉にふっと気持ちが軽くなった。