夕空が手を引っ張って連れてきてくれたのは、街全体を見渡せる高台だった。
それも、隠れスポットなせいか当たりは静かで…
『ほら、下…見てみろよ?』
「う、うん」
ゆっくり下を覗いてみると、街の並木道のイルミネーション、それに少し先にあるイルミネーション会場の光が一面にキラキラ輝いて見えた。
並木道のイルミネーションは青と白としたシンプルな輝き…
イルミネーション会場はカラフルでチカチカしている…
「すごい…綺麗…」
『だろ?
人も居ないし、静か…
それなのに、イルミネーション一面見れる…最高だろ?』
「うん!!
ほんと…ありがと」
アタシのために一生懸命、探してくれたんだろう。
『それから…もう一つ渡したいものがあるんだけどさ…』
すると夕空はアタシの後ろに回って、首元に手が当たった…
『ネックレス…お前に似合いそうだなって必死でバイトしてさ』
胸元でキラキラ輝くハートのネックレス…
「もしかして、テスト終わってから…!?」
そんな…まさか
『ペアウォッチがいいなって思ってたけど、その下見してた時に偶然そのネックレスが目に止まってさ…』
「夕空…」
それなのにアタシは構ってくれないからって怒って突き放して…
知らなかった…
「…ごめん。アタシ…」
『ばーか。
その分、寂しい思いさせて悪かったな』
夕空は笑って、頭を撫でてくれた。
ずっと、アタシのこと考えてくれていたんだ…
自分のことしか考えてなかった自分に腹が立った…
『やっぱ、すげー…似合ってる』
「うぅ…ありがと…ひくっ」
『は?
なに、泣いてんだよ!?』
「ひくっ…だって…」
嬉しくて嬉しくて、涙が次々から溢れ出す…────