きっと、夕空は誕生日が嫌いだ。
『なんで…』
「夕空が夕焼け空を好きになれた日が誕生日じゃ…ダメかな?」
捨てられた日が誕生日だなんて…嫌だ。
それに夕空は自分の口からその日を言いたくないに違いない。
だから…─────
『…バカ』
「夕空?」
『泣かせんなよ…』
アタシの耳元で啜り泣く夕空の声…
夕空…
抱きしめられる力が緩くなったのを見て、今度はアタシから夕空を前からぎゅっと抱きしめた。
「ごめんね。
この前、美湖ちゃんに誕生日聞いちゃったんだ。」
それは美湖ちゃんが廊下でいじめられているのを助けた日だった。
「凛時ちゃんって夕空のこと、好きでしょ?」て。
頷くと、美湖ちゃんは悲しそうに…でもどこか嬉しそうに笑ったんだ。
その時に、美湖ちゃんと色々話した際に聞いてしまった。
美湖も夕空のことが好きって知ってたのに…
それでも美湖ちゃんは夕空のことを教えてくれて…
『…美湖のやつ』
「夕空の誕生日に毎年、辛い気持ちにさせるのは嫌だった…」

