好きって、伝えたら




ふと、夕空にもらった腕時計を見ると、16時半を過ぎていた。


夕焼けを見るなら今しかない!!



「ちょっと来て!!」


『凛時?』



強引に夕空の手を引いてショッピングモールを出る…


このショッピングモールは外に橋が掛かっていて、そこからの夕焼けがものすごく綺麗なんだ。


外に出て走って夕焼けが見える橋に着くと、丁度空は茜色をしていた。



「夏みたいに、オレンジ色の夕焼けじゃないけど…これなら好きになれる?」



これがアタシなりの考えた答えだ。


夕空のお母さんが夕空を捨てたのは、夏だって美湖ちゃんが教えてくれた。


それに…誕生日も夕空は捨てられた日だって…


だから、オレンジ色の夕焼けが好きじゃないなら…この冬の茜色の夕焼けは…!?



するとぎゅっと後ろから抱きしめられた…。


夕空の顔が肩に乗る…



「夕空?」


『今初めて、夕焼け空が綺麗だって…思った。』


「ほんと!?」


『うん。
あんなに嫌いで、初めの頃は見るだけでも吐き気がしたのに。』


「…」



夕空は目を細めて、目の前に広がる茜色の空をみつめた…


空は藍色…

その下でより一層眩しく輝く夕焼け空…



「誕生日…おめでとう。」