2人して教室までの寒い廊下を歩く中
「ねぇ、その髪どーやってんの?」
「いつもいつも美眞を独り占めしてさー」
「そうそう、可愛いとでも思ってるわけ?」
この声…
「ごめん、創ちょっと先行ってて」
『おい!凛時?』
いつもは手前で上がる階段を通り過ぎて、声がする奥の階段の方へと歩いた。
薄暗い階段裏で押し倒されて、髪を引っ張られている美湖ちゃんが目に入った。
「ちょっと!何やってんの!?」
私の声に驚いて振り向いたのは、同じクラスの女子2人。
茶髪にピアスで短いスカートに化粧、それから下げたネクタイ…
つまり、私が大嫌いなタイプの人間。
「は?
神代さんだって、思ってんじゃないの?」
「何を?」
キッと睨んで美湖ちゃんの髪を引っ張る手を振り離した。