「まあそういうことがあってさ。おすすめだよ、なでっこ。」
結局勧誘かよ。
やれやれ、無駄な時間を過ごした。これはがっつりステーキでも食べないとわざわざ値段設定高めのファミレスに来た意味がない。元も取れそうにない。
「うーん。考えてみるよ。」
軽く右から来たものを左に受け流して、油でベトベトのメニューを開くと、優香がそれを上から両手で押さえつけてきた。
「ねえ、集団自殺サークルを実際に作ってみない?」
「は? なんで?」
拍子抜けした提案に思わずきつい口調になってしまった私は、この気まずい空気をなんとか回復させようと軽く咳き込んで、さっきよりも冷静に小さな声で聞いた。
「優香、あんた自殺したいってこと?」
「そうじゃない。まあ紗栄子が自殺したいなら別だけど。」
は? お前が死ねよ。
「紗栄子は別として、世の中には死にたいって思ってる人が大勢いるでしょ? だから私達がその人達を募集して、その自殺を手伝ってあげようかなって。」
自殺を……手伝う?



