ホラー映画かなんかのネタだと思っていた。

いや、もしかすると集団自殺サークルというものが既にあって、それを題材に映画を作ったのか、

或いは全くのノンフィクション映画に触発されて、実際に出てきたのか、

人が先か、芸術が先か。

その答えは私には一生わからない。

「あくまでなでっこで仲良くなった人から電話で聞いた噂なんだけどね。でもその子は実際の掲示板見たんだって。数時間後には閉鎖されてたみたいだけど。」

仲良くなった子。通話。

このワードで優香がなでっこで知り合った人と連絡先を交換したのは言うまでもない。

でも、いくら仲が良いとはいえ、連絡先を交換するだろうか? 出会い系と何ら変わりないじゃない。年齢も住んでる場所も違う。顔も鼻と口元をスタンプで隠した詐欺プリでしか見たことがない。

そんな相手を友達と呼んでいいのだろうか。

別に優香を責めている訳ではない。気持ち悪がってもいない。今の時代、Twitterで知り合った人とLINEでメッセージのやり取りや通話をすることは珍しくない。私もやっているし、何なら実際に会って食事した子もいる。

それが当たり前。

けどその当たり前を抽象的且つ冷静に分析すると、やっぱりおかしい。

だって、スマホの開発という、科学の進歩が無ければ、運命という名のレールの上で出会うことのなかった人と出会うことになるのだ。

スマホの普及がなければ、縁もゆかりも無い滋賀県の中学3年生の女の子と知り合うことはない。旅行ですら滋賀県には行かない。

正直、興味が無い。

優香が誰と知り合ったとか、なでっこという出会い系サイトの中に、一緒に自殺をしようと呼びかける掲示板があるとか。

それよりもお腹が空いてきた。フライドポテトを軽くつまんだだけでは私の胃袋は満たされない。