「んじゃ、話を始めようか。」

金子がそう切り出した。

いよいよ始まる。人殺し計画。

「まず、2人を殺すように依頼してきた奴だけど、それはKという人物だ。」

K?

「ちょっと待って。依頼人のプライバシーは守るんじゃなかったの?」

「だが状況が違うだろう。今の俺の依頼人はお前だろ。お前が殺す相手の情報を知らないのは、仕事に反するんでね。」

「どう反するのよ?」私は嘲笑した。

「例えば、お前が自分の夫を殺したやつを殺して欲しいと俺に依頼してくるとする。ただ、お前は夫を殺したやつが誰かは知らない。当然俺が探す事になる。そこで判明したのがAという女だった。しかし、俺はAとは不倫関係にある。とても殺すことは出来ない。だから、Bという男だと嘘をでっち上げてそのBという男を殺す。すると、俺はどうなる?」

「わかんない。」

長すぎて。

「殺し屋ではなく、ただの殺人犯。」

「どっちも一緒でしょ?」

「違うんだよ。お金をもらって確実に殺るのが仕事。他はただの殺人。」

なるほど。仕事と殺人との差別化。つまり、自分を正当化しようとしているのか。