「別れようか、千里」

千里の頬に涙が流れる。

言葉にすることなくうなずくだけの千里の手が頭にふれた。

ポン、ポン、と2回やさしくなでられた頭。

最後になにかを刻むみたいに、

横をとおりすぎるときに、シトラスの香りが鼻腔を掠めた。

大好きだった香りが、あの瞬間で苦手な香りになる。

好きだった夕日に染まった体育館も なんだか切ない気持ちを映し出してるみたいで嫌になった。

その場にしゃがみこんだ。

「うっぇ、、、」

嗚咽を漏らしながら、涙をながす。

もう嫌だ、なんで?なんで?

そんな思いが心を支配している。