夢の中にいるみたいに意識がはっきりしない。映画をみているような感覚にさらわれる。

聞こえない、そう訴えるように背中に回した手にちからを込める。

「…美樹」

遠慮がちな声に見えなくてもわかる、千里の困った顔。

勢いよくあたしをひきはなせばいいのに。突き放すことの出来ない千里のやさしさが今は痛い。

「もぉ、好きじゃないの?あたしは好きよ??」

「俺、、、は」

さっきは、別れを簡単に告げれたくせに。覚悟を決めた言った言葉なのかな??




しばらくの沈黙の中で千里の腕にいる。