こいびと。

F side


「北山、」


とりあえず、と北山をソファーへ座らせる。


「ごめん、俺、北山が、えっと、」


北山が何もしてくれないから不安で。

その言葉が言えなくて、オロオロしてると。


「っ、恥ずかしく、て。2人でいる時も、平常心保つのに必死、で…だから、余裕なくて…」


ぎゅ、と俺の服を握りながら呟く北山。


「ん、」

「藤ヶ谷のこと、嫌いとかじゃない、から…」


顔を真っ赤にしながら弁解する北山。
可愛いなーなんて場違いなことを考える俺にトドメのひとこと。


「ちゃんと、藤ヶ谷のこと、好き、だから…うん…その、」

「っ!いま!すき、って!」

「ん、…言って、なかったなって、ずっと思ってた…」

「ごめ、我慢出来ない……」


くい、と北山を引き寄せて自分の唇を北山のソレに押し付ける。


「んっ、!」


唇を離したあと、ペロリと挑発するように自分の唇を舐めると。

みるみるうちに真っ赤なる北山。

でも、その目はやっぱり普段の負けず嫌いな北山で。


「……もっかい、」


そう言うと、今度は北山から唇を押し付けてきた。


「っ、」


北山と両想いになって2週間と1日。

やっと恋人っぽいこと出来た…、なんて考えながら夢中でキスをする。


「はあい5分たったよ~」


……こいつらが入ってくるまでは。

もちろん、この後北山は真っ赤になって俺の胸に顔を埋めた。



⏩ END