優しさがキズ


『せっ…先輩……』


もう無理だ…

拓斗先輩に引っ張られるように走るけど、足の速さも長さも違いすぎてついて行けない。

私の声が届いたのかやっと足を止めてくれた。


「あっ、わりー」


悪いと言いながら、絶対この人悪いと思ってないだろう。
なんたって、ゼーゼーと呼吸をしている私を笑って見ているんだから。

「これ並ぼうぜ」


1本のペットボトルを差し出しながら何かの列に並ぶ。
ペットボトルを受け取り列の先を見るとさっき、あれと指差したジェットコースターだった。

「飲まねーの?」

さっき渡されたペットボトルを見る。

「別に飲みかけじゃねーし。いらないなら返せ」

ペットボトルをぎゅっと抱きしめた。走ってカラカラになった喉は水分を欲しがっている。


『いただきます…』


遠慮がちにキャップを開け口をつける。