目を開くと街が遠くに見える。



随分と歩いて来たものだと自分でも感心してしまう位に出発点は小さくなっていた。



……お母さん、心配しているかな。



それでも、私はディラを捜しに行く。



ディラは私の『親』であり、同時に『初恋の相手』でもあるから。



……せめて、最期にでも。



不意に風が帽子をさらって行く。



白いワンピースを靡かせ、運良く岩に引っ掛かった帽子を取りに行こうと小走りで向かうと、鳥が1匹、私の頭上で鳴いていた。



これから私の長い旅が始まる。