ライラックの蓋棺




1度、流行り病にかかった事があった。



当時10歳で、その病の事はディラに聞いていたが、ここは街から離れた森。



自分が感染するとは思っていなかった。



「でぃら、……でぃら」



高熱が出て、固形物が喉を通らない。



それが5日以上続いた。



6日目の朝、目を覚ますとディラが隣に居なくて、どうしようもない恐怖感に襲われたことを今でもよく覚えている。