私、先生と付き合ってます。

それから、あっという間に、相田主将とデートの約束をしている、週末を迎えた。

私は普段あまり着ない、ワンピースを着て、少しメイクをした。

そして、待ち合わせの場所に向かった。

なんだかいつも違って緊張する。

「そこのねえーちゃん一人?俺らと…」と男数名が近づいてきた。

これが世に言うナンパってやつ!?私、初めてされたー

そうじゃない…主将、まだかな?なんて考えて上の空でいると、いきなり腕を掴まれた。

「ごっめーん!三咲ちゃん!遅くなって…行こっか!!」と現れたのはいつもよりかっこいくてチャラさ全開の相田主将だった。

そして男数名を睨み付けている。

男たちは去っていった。

「ありがとうございます!!」と私が言うと、「いいえ!大したことしてないよ!てか、めっちゃ可愛いじゃん!」ってチャラく言われた。私は思わず照れて顔を赤くした。

「どこいくの?」と聞いてくる。

「内緒!ついてからのお楽しみです!!」と私は笑った。

ナゼか私の手は繋がれたままだったけど…。

目的の場所に向けて歩き始めた。

しばらくして、私と相田主将は小さなお店に入った。

相変わらずいい香りのするお店…。

私はカウンター席の真ん中に座り、「マスターこんにちわ~」と挨拶した。

その横に相田主将も座った。まだ疑問符が浮かんでいるのが見えた。

私は思わず笑ってしまった。

「ここね、ハーブティーの専門店なんです」と私は言った。

「…ハーブティー?」と不思議そうに言う相田主将。

「マネージャーがね、相田主将は試合が近づくといつもおかしくなって…本番で本領発揮出来ないのがずっと気になってたらしくてね…私に相田主将のメンタルケアを頼まれたの。けど…どうしていいかわからなくて、ひとつだけ思い付いた案がこれだったの!!試してみる価値はあるかな?って…」と私が言えば、

「そっか。ありがとう」と相田主将は頭を撫でてくれた。

「マネージャー、よく見てくれてるんですよね!!」と私が言えば、「そうだな。ウチのことを一番よく考えてくれてる気がするよ!」と相田主将は笑った。

「どんなブレンドがいいかな~?マスターヨロシクお願いします」と私は言った。

「あいよー。じゃぁ今日の気分聞こうか…」とマスターは言った。

「私ね…来週の大会出れなくて…その、イライラしがちだったりするんだけど…」と私が言えば、「そうか。じゃぁ、カモミールとパッションフラワーのブレンドにしようか?精神を安定させるパッションフラワーと鎮静効果のあるカモミールで心身共にリラックス…」とマスターは言った。

「うん。マスターにお任せするわ~」と私は言った。

「相田主将の精神状態はどんな感じですか?」と私は聞く。

「俺は…大会が近くて…その、眠れない日とかも多くなってる。不安感や緊張が強くて…」と相田主将は言った。

「なるほどね。じゃあこんなのどうかな?セントジョンズワート。気持ちを楽にしてくれて、安眠出来るようなブレンドなんだけど…」とマスターが言うと、「じゃあ、それでお願いします」と相田主将は言った。

「試合前に飲むオススメはハイビスカスとローズヒップのブレンドよ。集中力と持久力をあげてくれるの。糖質のエネルギー代謝を活発にしてくれるハイビスカスにビタミンCが 豊富なローズヒップをプラスすることで、完璧な飲み物になるの!!私も大会前とか、必ず飲むのよ。ここね、ドライハーブも売ってくれるから、家で作って飲んだりもしてるのよ!」と私は言った。

相田主将は少しポカーンとしてしまった。

はぁぁやってしまった…。

ちょっと長い説明だったかな…。

「ルーティーンみたいなものよ。気休めかも知れないけど…薬飲むより、ハーブの力で体を元気にする方が健康的だしね!」と私は言った。

マスターは丁寧に1杯ずつ作って、出してくれた。

「うーん。美味しい!いつもの味ね~」なんて私が言ってると、相田主将は恐る恐る匂いをかいで口をつけた。

「…!?思ったほど悪くない…」と相田主将は言った。

初体験のハーブティーは悪くないようだ。

「ゆっくり飲んでね。その方がゆっくり効くから…」とマスターは言った。

私達は長い談笑をしながらゆっくり飲んだ。

お茶請けにケーキを食べながら。

「ねぇ、大会の日、ワシがブレンド作ろうか?容器だけ持ってきてくれたら…作って待っとくよ!」とマスターは言ってくれたので、お願いすることにした。

しばらくして、私と相田主将は店を出た。

せっかくなので、そのままデートすることにした。