突然、ティアの表情が変わった。
「……あら、そんなこと言っていいんですか?」
「何?」
ティアは勝利を確信した顔で王手をかける。
「もしジュニ先輩の言うとおり女の子だけで見に行ったとして、心優しいアンジュだったら絶対来れなかった男子組のことで心を痛めますよ。
そしてコンサートが終わったあとも『ごめん、ごめんね本当』って泣きそうな顔して謝って、その後もずっと後悔するんです。
『どうして呼んであげなかったんだろう』って。
ジュニ先輩はアンジュにそんな思いをさせたいんですか?
アンジュにそんな思いさせるくらいなら、ジュニ先輩はこの苦難に耐えてでもアンジュの笑顔を守るんだろうと私は思ってますよ」
ティアの言葉にジュニは衝撃をうける。
息を飲んで苦しげに顔を歪めた後、苦渋の決断とでもいった表情で頷いた。
「…………いや、この二人のなかでアンジュどんだけ女神なんだよ」
ぽつりと漏れたユーリの呟きもティアとジュニ以外の誰もが納得した。



