魔法学校の最強魔法使い( Ⅰ )

「ていうか、んなことはどうでもいいんだよ。
で、アンジュの勇姿を見に来るか?」


アンジュの名前を口にしたとたんデレッと表情を崩す残念なイケメンに、ティアはきれいな笑顔を向ける。


「勿論行くわ。可愛いアンジュの勇姿を是非とも見たいわね」


シスコンの少々残念なデレデレを見てしまったティアは、『可愛いアンジュ』のところで崩したかった表情をぐっと引き締め、綺麗に笑みを深めた。


「あ、私も見たい!」

「僕も、行っていいでしょうか。友人の舞台はやはり見たいと思いますから」


ユリアは元気に、レインは恐々と答える。

案の定ブラックジュニ降臨の空気がその場におりたが、ティアが動いた。


「友達の舞台くらい見せてよ」

「駄目だ」

「アンジュだって友達に見てほしいでしょう」

「ユリアはいい。女の子だからな。アンジュにもユリアにもその気はないし。
だが……そいつはだめだ。アンジュにその気になったらどうする」



ティアとジュニが互いに真剣な顔で対峙する脇で、審査に掛けられたレインと話の中心であるアンジュは固まり、ユリアは苦笑い。

後レインと同じことになるだろうルカとユーリは青い顔を見合わせ、勝手に行くつもりで話の傍観者を決め込むユールは無表情でこの状況を楽しんでいた。