今年のニューイヤーカードに、ティアはお祝いメッセージの他に、あの龍の事件についての報告もあわせて書いた。

龍一匹に世界が相手をすると分かって安心したのだろう、皆その話題を出してこない。


そんな自分のカードのような重い話題もなく、新年を祝う気持ちだけで書かれた皆のニューイヤーカードはティアの心を晴らした。

それが嬉しくてここまで持ってきてしまったのだが、やはりいいことではなかったかと、ティアはちょっと反省した。

直す気は一切ないが。



ティアがカードをバッグに戻していると、アンジュの後ろから例のシスコンが顔を覗かせた。


「よお、ティア。元気か?ユリアもユールも。
……お前ら、アンジュに手ぇ出してないだろうな」


ジュニのいきなりの殺気溢れる視線に男組は震え上がる。

まだ何も言っていないのにこの真っ黒オーラを放たれるとは、ジュニはよっぽど彼らをマークしているようだ。

こくこくと首を縦に振ることしか出来なくなった彼らを救うためにアンジュが明るい話題へと促した。


「ま、まあお兄ちゃん。そんなことないよ」

「ほんとに?ほんとか?」

「ほんとだってば。
それよりお兄ちゃん、なんか話あったんじゃないの?」

「ああ、そうだった」


ジュニはぽん、と手を合わせてティアに向き直った。