ティアの実家は魔物退治屋だ。
どこからかわいてきて、魔力を持ち、人を襲う獣を仕留め、人々に被害が出ないよう、両親も、仲間達も戦ってきた。
ティアも小さい頃からずっとその仕事がしたいと思っていた。

6〜12歳で通う小学校には行かず、5〜9歳で家庭教師をつけてもらい、小学校の範囲を終わらせた。
その後も中学校、高校と三年ずつ通うところを飛び級し、二年ずつ通って卒業した。

もともと、そこで退治屋の仕事を始めるつもりだった。



高校の時の、四歳年上の同級生が語った夢。


『オレ、最っ強の魔法のスペシャリストになって、戦闘も研究も人助けも、何でもできる魔法士になるんだ!』


その彼は必死で夢を追い続け、高校でも人の何倍も勉強し、魔法の腕を磨いた。
沢山の有名な魔法士の元に出向いて話を聞き、色んなことを吸収していった。


ティアはその彼と、その夢に、とても憧れた。

ただ魔物を倒すだけでなく、仲間を守り、敵を一掃し、傷付いた人々を癒し、人々の生活の向上に貢献し、様々な形で人々の役に立てる魔法士。

きっと、より沢山の笑顔を作り出し、そこで輝いていける。


そこでティアは魔法学校へ行くことを選んだ。
魔法学校に入学できる歳になるまでの五年間、人間の住むルーメンの専門学校に通った。
その間も退治屋の仕事を引き受け、実践経験も積んだ。


そして今、この魔法学校に入学した。
今までの段階が夢へ走っていくための準備なら、これからの日々は走っていく段階だ。


この学校生活を充実させる。



そう決意して、ティアは風呂からあがる。
明日からの学校生活に思いを馳せつつパジャマに着替え、ベッドに横になる。


月が輝く明るい夜は、ティアを眠りへ誘った。