「さ、もうカウントダウンよ、トリト。
──さあ、いよいよ、新年10秒前!
─10、9─」
ティアは潰れてなお酒をあおる大人達に呼び掛けた。
改めて、今年を振り返る。
思えば、ルーメンでの生活が楽しかったのは勿論だが、ネブラに帰ってきてからもっと楽しい生活を送っていたようにおもえる。
勿論魔物討伐の仕事は結構頻繁に入っていたし、毎朝毎晩アンジュとユリアのために料理教室を開いて、いつも早起きを余儀なくさせられた。
さらにアンジュを始め、試験勉強のときのユーリやクラスメイトなど教える側にまわることも多く、少々理不尽さを感じることもあった。
「─6、5─」
それでも楽しいと思えるのは、やはりただ忙しかったんじゃないんだろうなと思う。
思い返せば、忙しい時はいつも笑っていたような気がする……魔物討伐以外は。
「─3、2─」
どうか、来年も
「─1─!」
充実した日々を過ごせますように──
「ハッピーニューイヤー!!」
その瞬間に首都の空が花火で明るく染まったのがティアの瞳に映った。