夜も更け、パーティーも幕を閉じて、いよいよ新年カウントダウン。

酒をのみすぎたガイア達が後ろで騒いでいるのが聞こえるが、それは気にせず窓から首都の方をトリトと眺める。



新年を向かえれば小さくだが、花火が上がって明るくなる首都が見える。

天気が荒れることの多いこの村にしては珍しく、空は快晴。
これなら首都の花火はばっちり見えるだろう。



ふと、曇りの無い闇が広がる夜空を見上げたティアは、ポツリと呟いた。



「……やっぱり、ここじゃ星は見えないわね」


ティアの呟きを聞き取ったトリトが首をかしげる。


「…ホシ?ホシって何?」

「ふっ……ルーメンの夜空にある、キラキラした光るものよ」


ティアはトリトの疑問に軽く微笑んで答えた。



実はネブラには星がない。

ネブラの空には月と太陽以外の星は浮かんでいない。
実際、視力は悪くないティアがどれだけ目を凝らしても、晴れた夜空の何処にも星は見つからなかった。

よって、ネブラの住人のほとんどは星を見たことがないのだ。

ティアはルーメンで見た美しい夜空を懐かしむように目を細める。

と、ティアは窓際から離れた。