暗黒大陸は砂漠ばかりが広がる不毛の地だ。
水分が少なく、草木はほとんど育たない。
そんな暗黒大陸は何故か魔物が格段に強く、しかもかなり多い。
魔物が暗黒大陸から他の大陸に流れてくることもあるため、何年かに一度、ネブラに国家をもつ全種族が手練れを集わせ暗黒大陸の魔物を減らす。
今年はそれが予定されていて、退治屋の娘でかなり強いティアも出動が決まっている。
そして、中央国とはどの種族のものでもない国だ。
各国の代表者が中央国の政治を取り仕切っていて、種族間差別がない、平等の国だ。
何かあるときは中央国に偉い人たちが集まり、会議するのだ。
そうなるとそれは世界規模の話になるため、そんなすぐに実行するということにはならない。
ティアの言葉を聞いても、やはりティアが全く歯が立たないのを見てしまった彼らは不安そうだ。
そんな彼らの暗い表情を吹き飛ばすべく、ティアは明るい声を出した。
「あーあ、これじゃ遊べないわね。
ファクスの駅周辺で買い物でもする?」
黒い龍が暴れたせいで遊園地はひどいありさまだった。
とても遊べる状態じゃない。
「…それもそうですね、時間はまだありますし。
クリスマスイブですからこのままじゃ駄目ですね」
「さすがレイン、物分かりが良いわね」
「じゃ、じゃあ……行こっか!」
こうしてクリスマスイブは皆の心に気がかりなことを残しつつ、過ぎていったのだった。