頭を抱えて座り込み、悲鳴をあげる女性の前まで着いたときには、ティア達は言葉が出なくなっていた。
遊園地の周りの森の木々は薙ぎ倒され、バラバラになった観覧車の残骸が辺りに広がっている。
怪我人が次々に運ばれていき、怪我をしていない人達も予想だにしない事態に混乱してあっちこっちに走り回る。
事態はひどいものだった。
何故こんなことに…と考え、すぐティア達には浮かんでくるものがあった。
「ねね、これってまさか…」
アンジュが口にしかけた瞬間。
─ギャアアオオオオォゥゥ!!!!
「──っ?!」
頭上から聞こえた咆哮。
ティア達が見上げた、その先にいたのは──
「龍……?!」
真っ黒な、龍だった。
大きな翼を広げ、長い体をくねらせる龍はティアを赤い目で真っ直ぐに睨み付けている。
「…っみんな!逃げるわよ!!
まず園内の客を避難させて!!」
「っティア、あなたどうするつもりです?!」
避難指示を任せ何処かに走っていくティアにレインが大声でたずねる。
ティアはそれには答えずに、そのまま走っていった。



