魔法学校の最強魔法使い( Ⅰ )

「つまり、あなた達はそれほど雪を見ることもなかったのですね。
僕はもう、家に帰ったら雪かきかと思うと憂鬱で仕方なくて…」

「そういえばレインの実家ってファランド島よね。
あそこはウィッチ国内屈指の豪雪地帯だものね、仕方ないわ」


ウィッチ国最北端に位置するファランド島は、国内で最も雪が降る地方として名を馳せている。
ウィッチ大陸内ではもっと雪が降る地域が山ほどあるが、ウィッチ国は大陸の東岸にあり、この地域は比較的穏やかな気候のためどうしてもファランド島の雪の多さは国内では目立つのだ。

また、今ティア達がいるファクスも寒い地域で、魔法学校でも感じたことのない寒さにプルプル震える生徒達がいた。

南国出身のユリアがそのいい例で、入学時にできる限りマイムで防寒具を揃えたがまともなものは全く売っておらず、冬になりファクスの街で震えながら防寒具を買った。


「そういえば、ティアの実家はどこ?」


ユリアが最後のひとりの出身を聞いた。


「私はね、ベネディクツっていう村出身よ。
ちょうど首都から真西にまっすぐにいった国のはじっこ、辺境ね。
村っていうより要塞って感じなんだけどね、国を魔物から守るためのあの村だし。
すごいわよ、雪はドサドサ降るわ夏はガンガン暑くなるわで。
豪雨やらノーイースターやら」


ティアの実家であるユリウス家は辺境の地ベネディクツに本拠地をかまえていた。
昔からずっとそこでやってきたのだ。

大陸の中心部は魔物がわんさかいるため、ウィッチ国内に魔物が入らないようにするには国の西端が1番だった。



お互いの出身地がバラバラのため、お国自慢にも花が咲く。

そんな和気あいあいとした雰囲気の中、ふとティアは顔をあげた。